小児アレルギー外来のご案内
アレルギーについて~アレルギーを甘く見ないで~
アレルギーは命に関わる可能性のある重大な症状なのですが、いつどのような状況で緊急の対応を要する状態になるかを完全に予測することは難しく、学校や職場・自宅など、ごく身近で起こり得ます。
一方で、発症した際の対応方法は確立されており、医療機関にかかることができれば大事に至らないことがほとんどです。大きな病院にかかることなく街のクリニックや中小病院で対応ができるため、まさか命に関わる状態だったとは気が付かないまま、ということがあるのではないでしょうか。
アレルギーを甘く見ないで、正しい知識と相談できるかかりつけ医を持ちましょう。金沢聖霊総合病院ではアレルギー専門医による小児アレルギー外来を行っております。
アレルギー対策に必要なもの
自分のアレルギー物質を知ること
金沢聖霊総合病院では41項目のアレルギー検査を行っています。
当院の検査の特徴
①負担なく素早く(時間も費用も身体にも)
②正確な情報の把握と共有(患者さんを守るとともに家族、教員の不安や負担を軽減)
③確実な診断とアフターフォロー(検査以降もご相談ください)
まわりに情報共有すること
まわりが知ることでより確実な対応につながります。
学校の場合は医師の診断による「学校生活管理指導表」を利用して情報共有します。
対応方法(正しい知識)を持つこと
自信を持って対応できるように、正しい知識を持つことが必要です。
緊急時の相談相手となる、専門のかかりつけ医師を持つことも大事なことです。
食物アレルギーについて
特徴
食物アレルギーは、ある特定の食べ物を食べたり、触れたりした後にアレルギー反応があらわれる疾患です。食物アレルギーの原因となる物質であるアレルゲンは、主に食べ物に含まれるタンパク質で、乳幼児期には小麦や大豆、鶏卵、牛乳などが、学童期以降では甲殻類や果物、そば、魚類、ピーナッツなどのように、加齢に伴って食物アレルギーの原因が変わっていくという特徴があります。乳幼児の5~10%、学童期以降では1~3%が食物アレルギーと考えられています。子どもの頃の食物アレルギーは、多くが成長に伴い徐々に原因食物が食べられるようになります(「耐性獲得」といいます)。一方で、大人の食物アレルギーは、耐性獲得しにくく、原因食品の継続的な除去が必要なことが多いと考えられています。
症状
食物アレルギーの症状は皮膚や、呼吸器、消化器など身体のさまざまな臓器にあらわれます。およそ90%に皮膚症状、およそ30%に呼吸器症状や粘膜症状が認められます。
・皮膚症状:かゆみ、じんましん、むくみ、発赤、湿疹など
・呼吸器症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳、息苦しさ、ゼーゼー・ヒューヒュー(ぜん鳴)など
・粘膜症状:目の充血や腫れ、涙、かゆみなど、口の中や唇、舌の違和感、腫れなど
・消化器症状:下痢、吐き気・嘔吐、血便など
・神経症状:頭痛、元気がなくなる、意識もうろうになるなど
これらの症状は、1つだけがあらわれる場合もあれば、急に複数の臓器に症状があらわれることもあります(アナフィラキシー)。アナフィラキシーの症状に、さらに血圧低下や意識障害など急激に全身の症状が進行する場合を「アナフィラキシーショック」と呼び、生命の危険にまで及ぶことがあります。
特殊な食物アレルギー
(1)食物依存性運動誘発アナフィラキシー
ある特定の食べ物を食べたあとに運動をしてアナフィラキシーが生じる病気です。特定の食べ物を食べただけでは症状は起きずに、特定の食べ物を食べたあとに運動をすると症状があらわれるという特徴があります。ただし、特定の食べ物と運動の組み合わせで必ず生じるわけではなく、生活環境や体調、ストレスなどの変化も関与すると考えられています。食事をして30分~4時間後に運動をすると、呼吸困難やめまい、吐き気・嘔吐、じんましんなど、アナフィラキシーの症状が出現します。
(2)口腔アレルギー症候群
ある特定の果物や野菜などを食べると口周囲の発赤や口腔内の腫れ、のどの痛みや違和感などが生じる病気です。症状があらわれても、多くは食後しばらくすると自然に軽快します。この病気は果物や生野菜に含まれるアレルゲンが、口腔内粘膜に触れて起こる反応で、体内のIgE抗体が関係しています。症状を引き起こすアレルゲンは、植物が病原菌の感染や傷害、ストレスから身を守るための生体防御として誘導されるタンパク質で、小腸に到達する前に壊れるため主に口腔内で反応が起きます。花粉症やラテックスアレルギーのある人は注意してください。
重症度
食物アレルギーでは、あらわれる臓器の症状の強さで重症度が分類されます。
「軽症」は皮膚症状が部分的で消化器症状も弱く、元気がなくなる程度です。
「中等症」では皮膚症状は全身に広がり、がまんできないほどのかゆみや、軽い息苦しさや、眠気があらわれる場合があります。
「重症」では全身症状があらわれ、強い腹痛や嘔吐を繰り返し、便失禁や、ぐったりして意識を消失する場合があります。重症では生命の危険もあるため、すぐにアドレナリンという薬を注射して治療をします。
診断
食事を食べた後に何らかの症状が出たときに、食物アレルギーを疑います。特に、初めて食べたときに症状が出ることが多く、その後、同じ食品を食べるとくり返し症状が出ます。
原因の食べ物を特定するには、医師が実際に食べた食品の内容を確認し、血液検査で特異的IgE抗体検査によって確認することで推測することができます(「アレルギーの検査について」や下段の※を参照してください)。確定診断をするためには、病院で実際にその食品をごくわずかの量を食べてみて症状があらわれるかどうかを確認する「食物経口負荷試験」という検査が必要です。
食物経口負荷試験は、時には重篤な症状が出現することもあるため、病院で十分な準備を整えて、できるだけ安全に実施する必要がある検査です。そのため、すべての病院では検査は実施できないため、かかりつけ医の先生に相談し、実施できる病院を紹介してもらいましょう。自宅で試しに食べてみることは非常に危険なので、絶対にやめましょう。
治療
食物アレルギーでは、症状が出ないように原因となる食品を除去する「除去療法」と、症状が出てしまったときに症状を改善させる治療があります。
(1)除去療法
原因となる食べ物の除去をすることです。例えば、卵アレルギーの場合は、卵を食べないように除去をします。お菓子などの加工品に含まれる場合もあるため、食品表示をしっかりと確認して卵が含まれていない食品を選びます。
食物アレルギーの患者さんでも、食品によっては少量を食べても症状が出ない、加熱するなど調理をしたら食べても症状があらわれない人もいます。これらは食物経口負荷試験にて確認して、必要最小限の除去をすることが可能です。
また、食物除去をする場合、特に複数の食物のアレルギーがある場合には栄養がバランスよく摂れなくなる場合もあります。このような場合は、バランスよく栄養を補うために管理栄養士さんから指導を受けましょう。
(2)症状があらわれたときの治療
それぞれの臓器について症状の程度に合わせて治療を行います。じんましんやかゆみに対しては、抗ヒスタミン薬、咳やゼーゼー・ヒューヒュー(ぜん鳴)に対しては、気管支拡張薬の吸入などを行います。症状が重篤で、全身に及び急速に進行するアナフィラキシーではアドレナリンの筋肉注射が必要になります。
アナフィラキシーが起きたことがある患者さんは、日常生活でアナフィラキシー反応が生じたときに自分で治療薬(アドレナリン)を注射することのできるアドレナリン自己注射薬(エピペン®)の処方を受けることができます。この場合、使い方をしっかりと医師や薬剤師に習い、注射の仕方を間違えないようにしなければなりません(「アナフィラキシー」の項目を参照してください)。
(3)食品表示について
食品表示について
食品衛生法によりアレルギー表示が義務づけられています(あらかじめ箱や袋で包装された加工食品、カン・ビン詰めの加工食品)。
・必ず表示される7品目:乳、卵、小麦、そば、落花生(ピーナッツ)、えび、かに
・表示が勧められている21品目:アーモンド、いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、バナナ、やまいも、カシューナッツ、もも、ごま、さば、さけ、いか、鶏肉、りんご、まつたけ、あわび、オレンジ、牛肉、ゼラチン、豚肉
ただし、店頭で量り売りされる食品やその場で包装される食品、注文してつくられる弁当などでは表示されないので注意する必要があります。また、「卵」と表示されていても魚卵、爬虫類卵、昆虫卵は対象外で、「小麦」と表示されていても大麦、ライ麦、はと麦などは対象外、「乳」と表示されていても山羊乳などは対象外、「えび」と表示されていてもしゃこ類、おきあみ類などは対象外となるなど、注意が必要です。
(4)食物アレルギーと乳児のアトピー性皮膚炎について
乳児の食物アレルギーはアトピー性皮膚炎と合併することが多く、アトピー性皮膚炎の原因が食物であると考える人がいますが、2つは別々の病気であり、食物アレルギーを持つ赤ちゃんのおよそ4人に1人はアトピー性皮膚炎ではありません。しかしながら、一部の乳児で、アトピー性皮膚炎が特定の食べ物で悪化することがありますので、このような場合は医師に必ず相談してください。
(5)食物アレルギーの予防、免疫治療(経口免疫療法)について
食物アレルギーを予防する研究、食べて少しずつ慣らしていく経口免疫療法の研究が進められていますが、あくまでも研究レベルであり、まだ確立してはいません。インターネットなどの誤った情報に振り回されないで、医師の指導を守ってください。
アレルギーの治療
症状に対する治療
抗ヒスタミン薬
アレルギー性鼻炎の鼻水やくしゃみ、アトピー性皮膚炎の皮膚のかゆみなどに対しては、抗ヒスタミン薬などが使用されます。
気管支拡張薬
ぜん息では、ぜん息発作のときに気管支拡張薬が使用されます。これらは、症状を抑えるために発作止め(発作治療薬)として使用されます。
アドレナリン自己注射薬
アナフィラキシーという重篤なアレルギーの症状がある場合は、アドレナリン自己注射薬が使用されます。食物アレルギーやハチ毒アレルギーなどによってアナフィラキシーが起こる危険がある患者さんでは、緊急時にアドレナリン自己注射薬を自分で注射して症状を抑えることができます。
炎症をおさえる治療
ステロイド薬
アレルギーの病気の一部では、アレルギー性の炎症が起こります。たとえば、ぜん息では気管支に、アトピー性皮膚炎では皮膚に、アレルギー性鼻炎では鼻に炎症が起こります。これらの炎症に対しては、炎症を抑えるような治療を行います。炎症を抑える薬で一番使用されているのが「ステロイド」と呼ばれる「副腎皮質ホルモン」の薬です。
免疫療法
免疫療法は、アレルギーの原因となるアレルギー物質(アレルゲン)をごく少量ずつ投与することで、アレルゲンに対して体が反応しないようにするための治療で、以前は「減感作療法」とも呼ばれていました。この治療は症状に対する治療や炎症を抑える治療とは異なり、アレルゲンに対して体に反応が生じにくくする治療で、アレルギーの治療法の中では根治(治癒)を目指す唯一の治療とされています。たとえば、ダニがぜん息やアレルギー性鼻炎の悪化因子である場合には、ダニのアレルゲン免疫療法によって、両方の病気の症状が改善することが期待できます。
診療時間のご案内
予約は必要ありません。以下の時間帯にご来院ください。
時間帯 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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午前(10:30~11:30) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
午後(14:00~15:00) | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | × |